2011年7月19日火曜日

低線量被曝、内部被曝に関する最新の研究報告 1

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低線量被曝、内部被曝に関する最新の研究報告

石炭に火をつけて、手をかざせば暖かい(外部被曝)だが、
そのひとつでも飲み込めば大変なことに(内部被曝)
熱量は同じでも、被害は変わる。など。

政府・東電は何もしてくれませんので、
自分の命は自分で守ろう!

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7月18日 クリス・バズビー博士講演内容
http://iwakamiyasumi.com/ustream-schedule/ustream2
前半書き起こし


低線量被爆の健康被害に関して話すために日本に呼ばれたことをありがたいと思っている。

わたしは1997に欧州で設立されたECCRの代表だ。
低線量被爆について20年は研究してきた。

ヨーロッパで原子力施設周辺における幼児の白血病発症率の上昇に着目して研究した。
当時当局は白血病と放射線・放射能の関係は否定していた。
しかし、私からすれば、放射線によって引き起こされると知られている白血病と、
放射線を放出している原子力施設との関係がないというのは信じられない話だった。

現在、この否認の前提となったリスクモデルが様々なエラーを抱えていることが確認されている。

2003年には、ECCRは新たなリスクモデルを開発した。
今日はこの間違ったリスクモデルをいかに正しいリスクモデルで訂正して行くかということを話したい。
その後、福島の放射能漏れから予想される健康被害を予測する。


放射線の電離性エネルギーは小さいのだが、ますそれがDNAにいかに影響するかを見て行きたい。
DNA(染色体)とは図書館(設計図)のようなもので、細胞の機能その他を決める。
放射線はそこで変異をひきおこす。図書館の情報を書き換えてしまう。
細胞は機能を失い、癌、白血病、遺伝病その他様々な疾病につながる。

放射線は吸収線量によってはかられている。
この計測値は広範にわたる体内組織がそれぞれ受けた被爆の平均値にあたる。
しかし、(体内被曝には偏りがあるので)
問題は個々のDNAを照射するエネルギー密度であり、全体の平均値ではない。
このエネルギー密度は、吸収線量とは必ずしも呼応しない。


日本は被爆健康被害のモデリングにおいて非常に重要な国だ。
広島と長崎の生存者の被爆症状が、そもそも放射線障害の定義を作ることになった。
しかし、原爆の被爆では外部空間での爆発により
体全体の細胞がほぼ同等のエネルギーによって被爆した。
これは内部被爆の基礎を理解するには有効な考え方ではない。
内部被爆では破壊エネルギーの密度が場所によって異なってくる。

つまり、外部被爆は体全体の吸収線量を平均化して考える。
吸収線量だけを考えれば、火の前に座って体を温めても(全身に分散)
石炭を口に入れても、(平均化された)吸収熱量としては同じだが、
実質は異なる。

我々はいつでも、自然放射線を受けている。
自然放射線下では、体中の細胞ひとつひとつが一年に一度、放射線によって照射される。
しかし、これは約12時間で細胞によって自己修復される。

体の中には10^13細胞がある。
これ全部に放射線を突き刺すとなると、1グレイ、1Svになる。
これが致死量に近くなる。

しかし内部被爆では、もっと小さな線量でも、同じ細胞が繰り返し繰り返し照射されることになり、
ダメージは大きい。

(ラットの肺の写真)
ラットの肺の中の写真だが、粒子のある周辺では線量が高く、ないところでは低い。
ラットの肺全体の平均吸収線量としては低いに違いない。
平均吸収線量が内部被爆では使えない概念だということをわかってほしい。

ECRRでは、これに気付いたとき、新しいモデルを作成した。

科学においては、似たような状況を比較することが必要である。
だからICRPが広島の外部被爆被害者と、チェルノの内部被爆を比較したのは間違い。

(ちょっと聞き逃し)
そこで我々は、内部被爆の比重係数を核種によって計算した。
結果として作成されたリスクモデルは2003年に発表されている。
それらは原子力施設周辺等で健康被害を受けている人々の実情と合致し、また被害を正確に予測した。
日本人や福島の人々にとってこれらがなぜ重要かというと、
このリスクモデルによってこの先の展開に関する答えが出るからだ。


我々は核実験時代にフォールアウト(放射性降下物)を受けた人々の研究をした。
ウェールズとイングランドのフォールアウトは計測され、特徴が観測された。
ウェールズはイギリスの西にあり、雨が多く、核実験からの放射性降下物が多い。
これらは観測され計測された。

また、ウェールズとイングランドでは、癌患者の登録制度がある。
そのため我々はイングランドとウェールズで、
放射性降下物と癌の発生率をそれぞれ比較することができた。
結果としては、降下物の多い地域における癌発生率は、ICRPモデルの計算値の350倍にも達した。
これは大きな数字である。


では原子力施設周辺の幼児白血病に戻ろう。
ここでも同様の倍率における間違いが見られた。
我々が調べたあらゆる場所で、同様の間違いがICRPモデルの予測から見られた。

我々は、ICRPモデルからすればとても小さな被爆量の話をしている。
子供の白血病では、少ないときには100マイクロ以下の累積被爆。

ヨーロッパでのチェルノの研究も同様。
2004年、スウェーデンであった研究。
これはチェルノによる汚染からスウェーデンで癌がどれだけ増加したかという調査。
これに関しては後に触れる。

ECRRの2010年に最新モデルはネットで無料で手に入る。日本語訳もある。

その他疫学的研究からも、ICRPモデルが間違っていることは証明されている。
(ちょっとこの辺また聞いてなかつた)
だがICRPは頑なな無視を続けており、これは世界中の科学にとって恥ずかしい話だ。

過去20年、ICRPの長はジャック・バランタインだった。
彼がこのICRPモデルの著者である。私は2009年に彼とであった。
そのときの話し合い(ビデオに撮られており、ネット上にある)において、
彼はICRPモデルの内部被爆に関しては最大900倍にもなる可能性があると認めた。
そして退職した彼は現在、今ICRPモデルを批判している。

現在、著者自身が間違っていると認めているモデルにもとづいて
(安全だとし、結果的に)人々に毒を浴びせている。
ECRRの委員たちは本物の科学者たちだ。
高名な生物学者や物理学者であり、実際に実験をしている人たちだ。
ロシア科学アカデミーの長も参加している。
これを言うのは、原子力産業は我々ECRRはただの環境活動家に貶めようとしているからだ。
しかし我々はICRPよりもずっと科学的な組織である。

証拠を見せよう。
これはウェールズの癌発生率と、ストロンチウム90の濃度(核実験後の降下物)
1980年ごろにはじまった世界的癌の大発生は、核実験によるものだと考えていい。

これは、ウェールズとスコットランドでの幼児白血病の発生。
胎内にあるときに被爆があったことを示している。
数は大したことはないが、ICRPのモデルが間違っているという明確な証明である。

これらの胎児が受けた線量は70マイクロ(合計)といわれる。(昨日は200って言ってた…)
これは自然放射線の1/20だ。

2, 3, 4などという数字が続いていたのに、チェルノブイリ後、発生率が突然14になる。
チェルノブイリ事故が発生したのはちょうどこの子供たちが胎内にいた期間。
被爆による発生率の上昇だと考えていい。これはICRPの400倍。

イギリス本当北西海岸にセラフィールド再処理工場があるが、
対岸のアイルランドの海岸地帯で癌発生率が上がっている。
またイングランド南東部でも原発がある海岸部では癌の発生率が上昇している。
(すぐ南にある原発のない海岸部では同様の河口部でも癌の発生率上昇が見られない)

癌の発生だけでなく、幼児死亡率もあがる。
核実験52-63年の幼児死亡率、またウェールズのストロンチウム90と幼児死亡率の関係。
自然放射線に比較すれば非常に小さな線量で被害が出ている。

スカンジナビアでチェルノの影響を研究した。
スウェーデンのマーティン・トンデルが1988-2004の人口調査を行った。
これは今回の福島事故において重要な意味を持つ。

彼はスウェーデン全ての地区で、セシウム137の濃度と癌発生率の関係を調べた。
セシウム137はただの代表選手というだけで、セシウムだけで癌が起こっているわけではないが。

トンデルは研究成果を発表した。彼が発見したのは、100キロベクレル/平方メートルの汚染で
癌の発生率は11%上昇する。
これらの癌は主に被爆の十年後ぐらいに発生する。
これはICRPモデル予測の600倍ぐらい。
これは外部線量で1年2mSv程度。

これは2003年のECCRモデル予測とほぼ合致している。

トンデルはこの研究のせいで排斥され、職を失った。
彼の上司は最近までICRPの議長だった人物。

(原子力産業を成立させる上で)放射線とその健康被害は重要である。
その重要な問題をコントロールするため、この人物は
スウェーデンの国民健康管理の長に就任した。
これは利害関係の対立も甚だしい。

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